日常的なストレスは体に悪くない?その理由とは
職場での人間関係、家族や友人たちとのしがらみや経済状態の悪化、親の介護など、わたしたちを取り巻くさまざまな問題にストレスを感じない日はありません。
「百害あって一利無し」のストレスを発散するために、わたしたちはあらゆることを試みます。
お酒を飲んだり、家族とのだんらん、スポーツや趣味に没頭したりなどが代表的なものです。
しかしハーバードで行われた研究によると、ある条件をもとに「ストレスを感じるのは良いことだ」と感じている参加者のほとんどが「心拍数や血管の状態も健康」という結果となりました。
これはいったい何を意味しているのでしょう?
「ストレスは健康に悪いものではない」という見解にはどんな根拠があるのでしょうか?検証しましょう。
日常的なストレスの症状
あなたは日常的にストレスを感じていますか?
例えばギュウギュウ詰めの満員電車に乗ることは誰でも「いやだな」とか、「もう帰りたい」などのストレスを感じるものです。
また「いけすかない」とか「憎しみさえある」といった人のその姿を見ただけで強いストレスを感じる人もいます。
以下は日常的なストレスを感じているときの症状の一例です。
・頭痛がする
・のどが乾く
・汗が出る
・気持ちが落ち込む
・微熱 など
強いストレスと日常ストレスの違い
ストレスには「日常的なストレス」と、「心的外傷(トラウマ)」があります。
「心的外傷(トラウマ)」は、受け入れがたいほどの強烈なストレスを受けたときに起きます。
これと対照的なのが「日常的なストレス」です。
心的外傷のように一気に強く襲いかかってくるストレスとは違い、通常の暮らしをしていれば受ける軽いストレスとも言い換えられます。
これはホメオスタシス(恒常性)によるもので、ストレスからからだを守る防衛本能がはたらくためです。
このストレスから守ろうと脳や身体が働くことで、実は心身が強くなって行っている側面もあるのです。
これが日常的な軽いストレスは現代社会で生きていくには、むしろ人間には必要な要素ともいわれている所以です。
ストレスから守ってくれる「ホルモン」
ストレスを感じると、脳内から自然と心身を守るためのホルモンが分泌されるのですが、それがこの2つです。
- コルチゾール
- オキトシン
ストレスが加わると交感神経が緊張しアドレナリンの分泌を促しますが、その状態がひどくなると自律神経失調症へと症状が進むこともあります。
しかし、それに対抗する抗ストレスホルモン「コルチゾール」も分泌されるため、体内ではストレスに負けない精神状態へと密かにステップアップしています。
「オキトシン」が分泌されるとき。
それは「他者とふれあっているとき」です。
オキトシンは「ハグホルモン」とも呼ばれ、その分泌により「もっと人と関わりたい」「もっと友人や家族と幸せを共有したい」という気持ちが起きます。
ストレスを感じたとき「誰かに話してこの気持ちを共有したい」と思うのはこの作用がはたらくためです。
さらにオキトシンにはストレスによる血管の縮小を防ぐ効果もあり、もし大きなストレスを抱えているときも体内では自然治癒力がはたらいているのです。
心身を鍛える良いストレス解消法
日常的な軽いストレスは心身を守ってくれるホルモンがよりよく分泌し働いてくれていると思い、その意識を持った上で解消してあげるとよりストレスに強い脳や心身が作られていきます。
- 人に話して共有する
- 「ストレスが悩み」の人の話を聞く
- ストレスにより体調の不具合があったとき
オキトシンを分泌させることにより自然治癒力がはたらきます。
そのためには「悩みを人に相談する」「悩んでいる体験を人と共有する」など。
人からのサポートを受けると効率的にストレスを解消できます。
「自分のストレスを人に話して悩みを共有する」のとは逆に「ストレスで困っている人をサポートする」ことでもオキトシンが分泌されます。
例えばストレスにより心臓がバクバクしたとき、「あー、今ホルモンのはたらきで脳に酸素を大量に送り込んでいるのだ」と理解できれば、ストレスを感じる度合いも違ってくるでしょう。
まとめ
・ストレスを感じると特定のホルモンが分泌され、からだへのダメージを軽減させるはたらきが起こる
・ストレスを人に話したり聞いたりすることなど、共有することで活発にはたらくホルモンもある。
・「ストレスが悪い」という観念が、よりストレスを良くないものにしている可能性が高い。