睡眠中の歯ぎしりは体に悪影響?主な原因や改善法
寝室を共にする家族やパートナーから「すごい歯ぎしり!」と言われたことはありますか?
そう言われて初めて自分が「人に迷惑をかけていたかもしれない!」と恥ずかしく思ったり、また自分でも「もしかしたら?」と気づいていたかもしれません。
睡眠中の無意識的な歯ぎしりはなぜ起こるのか、歯ぎしりによる体への悪影響や解決法をなどをみていきましょう。
歯ぎしりとは?
歯ぎしりは、例えば極端な「くやしさ」や「悲しみ」のように、感情的に耐えがたい状況のとき「歯ぎしりするような思い」といった激しい感情の象徴にたとえられます。
無意識に歯を食いしばることでその激情に耐えられるようにするのは、言わば防衛本能かもしれません。
そんな意識化の中での歯ぎしりに対し、睡眠中に起きる歯ぎしりはほとんど無意識の状態です。
当の本人は寝ているのでまったく気づくことはあまりありませんが、一緒に寝る人にとって歯ぎしりの音は、慣れていないと異様でかなり気になるもの。
さて、寝ているときの歯ぎしりは何が原因なのでしょうか?
そしてどのような解決法があるのでしょう?
歯ぎしりの原因
歯ぎしりの原因の多くは「ストレス」とみられます。
仕事や家事、人間関係などによるあらゆるストレスを開放し疲れをとるのが睡眠ですが、歯ぎしりによりさらにからだにストレスをかけている可能性もあるわけです。
特に日頃から無意識に歯を食いしばるクセがある人は、筋肉がその状態を覚えてしまい歯ぎしりが起こりやすくなる傾向があります。
また別の視点から見た原因のひとつに「歯並び」があります。
もともと人には歯並びの悪さを自分で修復しようとする機能がはたらいているといわれています。
特に歯並びが決まる幼少期によく歯ぎしりが起きてしまうようですが、大人の場合もやはり歯並びの良し悪しが影響を与えているとみられます。
とはいっても歯並びが良い人の中にも歯ぎしりする人はいるため、一概にはいえないところですが歯並びが良い方が歯ぎしりが起こりにくいのは確かです。
また筆者の知り合いに歯ぎしりがひどく大きな音を出しながら眠る方がいるのですが、その娘さん(3歳)も歯ぎしりをして寝ている姿を見たとき「歯ぎしりも遺伝するんだ」と驚いた経験があります。
未だ科学的には解明されていないようですが、親子で就寝中の歯ぎしりをする人も多いことから遺伝によるところもあると考えられているようです。
その他、治療した歯の詰め物や金冠が合っていない場合や、過度の飲酒や喫煙習慣もその原因のひとつと考えられます。
歯ぎしりによる体への悪影響は?
普段、意識的に音を立てて歯を噛みしめるのはちょっと難しいですよね。
一説によると歯ぎしりにより歯や歯茎、歯根には約100Kgの圧がかかっているといわれています。
これでは歯や歯茎に大きな負担をかけているのは簡単に想像できますよね?
100kgの圧をかけていて次の朝無事でいるのが不思議に思えますが、具体的に歯ぎしりによる人体への影響はどのようなものがあるでしょうか?
- 顎関節症のおそれ
- 首のこりや肩こり、頭痛
- 歯の神経に影響が出るおそれ
- 歯周病の原因になる
- 歯が折れることも
意識があるときには決してできないほどの強さで噛みしめるのが一般的な睡眠中の歯ぎしりです。
顎にもそれ相応の負担がかかるとみられますが、極端な場合、顎関節が炎症を起こす「顎関節症」になるおそれがあります。
もし顎の付け根が痛い、口が開けにくいなどがあれば、それは歯ぎしりの主な症状です。
歯ぎしりをする人によく起きるのが首こりや肩こり、頭痛などです。
顎関節には首や肩につながる筋肉があります。歯ぎしりにより血流の流れが悪くなったり筋肉の緊張がおきるため、首こりや肩こり、頭痛の原因となるようです。
歯ぎしりにより歯に亀裂が入り、そこから細菌感染することで神経に影響がでるおそれもあります。
亀裂は微細なことも多く、突然原因不明の痛みが出ることもあるようです。
歯ぎしりにより歯茎や歯根に異常な負荷がかかることで炎症が起き、歯周病になる危険性があります。
すでに歯周病がある場合、さらに症状がひどくなるおそれも出てきます。
特に神経を取ってしまった歯は、もろくなっているため大変折れやすい状態になっています。
歯ぎしりによる負荷で、もろい状態の歯が簡単に折れてしまうとは、かなりショックですよね。
歯ぎしりを軽減する改善方法
歯ぎしりはもう何をしても治らない!とあきらめる前に、少しでも症状を軽減する方法を取り入れてみましょう。
- マウスピースを装着する
- 顎のマッサージをする
- キシリトールガムを食べる
- 日中は歯と歯を噛み合わせないようにする
ナイトガードと呼ばれるマウスピースは、歯ぎしりから歯をガードするためにマストなツールです。
ネット通販でも多種多様なマウスピースが手に入ります。
歯科技工士が開発した商品もあり簡単に手に入るので魅力的ですが、嚙み合わせには個人差があります。
理想的なマウスピースは歯科医受診のもと、きちんと型取りをしたものがベストです。
歯ぎしりにより顎関節が硬くこっている場合、人差し指を使って軽く円を描くようにマッサージしてみましょう。
首のコリの軽減にも顎関節マッサージがベストです。
顎関節の場所は耳の前あたりにあり、口を開け閉めするとがくがくと動く場所です。
歯ぎしりにより歯が削れていくこともあります。
少しでも食い止める方法として、キシリトールガムを食べる方法があります。
キシリトール成分のガムで唾液を多く出すことにより、歯のエナメル質損傷の軽減が期待できます。
歯ぎしりのクセをとるために、日中は意識して上の歯と下の歯がくっつかないようすき間を空けるようにしましょう。こ
れにより歯を食いしばるクセが軽減でき、歯ぎしりも減ってきます。
まとめ
歯ぎしりには「カチカチ鳴るもの」や「ギリッギリッと激しく音が出るもの」また「まったく音が出ないもの」までいろいろです。
しかしそのどれもがからだへの負担となっています。
もし歯ぎしりするクセがあった、できれば早めに最寄りの歯科医に相談しアドバイスを受けてみてくださいね。